空を打ち抜く大アーチ

 今季関東での最終戦を観に東京ドームへ行ってきた。急遽決めたので立ち見の券である。1000円なら立ち見も悪くないかと思ったけど、手数料等々で結局1500円近くかかってしまった。目的は今季で引退する新井さん。現役最後の打席を観るためである。
 試合前に新井にG阿部・上原から花束を渡す式典が催される。新井が登場する際に、マツダスタジアムで登場曲として使用している「全力少年」が流れる演出にはちょっと驚かされた。
 新井は9回に代打として登場。結果は四球で安打を見ることは叶わなかったが、かなりの長い間新井の応援歌で声援を送ることができたのは実に楽しかった。一番下の写真はその打席のものである。
 新井の打席が終わった後の9回裏……、まあその後の試合結果については語るまい……。

 2004年の球界再編騒動で選手がストライキを敢行した際に代替で行われた横浜スタジアムでのサイン会では真っ先に新井の列に並んだ。ねこさんには「普段、散々新井に文句言っているのに」と言われたものだが、2000年代前半当時、将来のカープは新井と東出が引っ張っていくものだと信じていたのだ。だからこそ苦言も多かったのだが(笑)。
 新井がカープに帰ってきた時には「使う場所もないが、まあ選手生活の最後を看取ってやるのもいいか」などと考えていた。自分に限らず、多くのカープファンも似たようなことを考えていたと思う。そうしたらエルドレッドの故障もあって4番に定着。いつの間にかいなくてはならない選手になっていた。オープン戦でのカープファンからの大声援が新井を奮起させたという話は実に感動的だ。結局のところみんな新井が好きなのだ。
 東出は2015年に引退し、新井も今年で引退。既に世代交代は完了済みと言っていいチーム状況ではあるが、一時代を象徴する2人が現役を去ることで、またカープのひとつの時代が終了するのだなと、やはり寂しさは拭えない。
 今の強いカープはもちろん、新井が三塁を守っていたあの弱い頃のカープも同じように我々カープファンを楽しませてくれていたのだと改めて思い出す。

新井さん