■Opening Phase01 受け継がれる魂の形
1人の老人がベッドに腰かけ、ヴァイオリンを奏でていた。その旋律は暖かながらもどこか別れの曲に似ていた。
- GM:オープニングの最初のシーンPCはエミリオ。10年前、ソルティアーネの祖父ロヴィスの死が半年後に迫っているというシーンです。
- キムラ:回想シーンですね。
- エミリオ:うんうん。
- GM/ロヴィス:これでお前さんの再調律もほぼ完璧だろう。ワシが死んでも暴走することもあるまい。
- エミリオ:ああ。だがもっとお前の曲を聴いていたい。
- GM/ロヴィス:残念だが、それは適わぬ。それはお前さんが一番良く判っていることだろう。
精霊は、契約している神曲楽士の死期が近づくとそれを悟るという。
- キムラ:だから半年後と判るのですね。
- エミリオ:ああ。そうだな。悲しみとはこういう感情なのだな……。
- GM/ロヴィス:神曲楽士派遣事務所はソルティに譲るつもりだ。無論、ソルティが神曲楽士の資格を得るまでは、他の物に面倒を見させるつもりだが、あの娘にはワシを超える才能がある。
- エミリオ:才能か。私にはまだ判らないが、お前が何を私に頼みたいかはよく判るよ。
- GM/ロヴィス:ありがたい。ソルティの才能が開花するまで……、いや開花してからもソルティを見守ってくれ。
- エミリオ:精霊は1人の神曲楽士に殉じるものなのだが、お前のたっての頼みとあれば断れまい。
- GM:さてソルティも登場したければどうぞ。
- ソルティ:ねーねー、おはなしおわった?
- GM/ロヴィス:おお、終わったぞ。
- エミリオ:お嬢様、こんにちは。
- ソルティ:えへへ、こんにちは。わたしね、いまヴァイオリンならってるんだよ。
- エミリオ:今日は、お嬢様の新しい曲をお爺様と私に聞かせてくれるんだよね?
- ソルティ:いいよ、まっててね──んしょんしょ……じゃじゃーん!
- エミリオ:(ぱちぱちぱち)
- GM:ロヴィスも目を細めて嬉しそうにしている。
- ソルティ:それじゃ、ひくよ。
それは、まだ拙い技術ながらも、心のこもった演奏──。
- ソルティ:はい、これでおしまい! えへへ、どうだった? きのうね、うまいってほめられたんだよ。
- エミリオ:とても上手ですよ。もっともっと練習して、もっともっと上手くなりますよ。
- ソルティ:エミリオのためにもっともっとうまくなるよ! えへへ。
- エミリオ:ロヴィス、お前の魂はこの子にきっちり受け継がれる事になりそうだな。
- GM:ロヴィスは嬉しそうにうなずいている。
- エミリオ:ああ。このエミリオ・キッカ・グリードコック、パティータ・ソルティアーネに全身全霊をささげ、守り抜くことを誓います。
- GM:さて、しばらくすると部屋のドアがノックされます。どうやらロヴィスに客が来た様子です。
- ソルティ:くーくー(睡眠中)。
- GM/ロヴィス:ソルティを部屋まで運んでくれるか?
- エミリオ:判った。ソルティを抱きかかえて部屋を出ようとします。
- GM:エミリオと入れ違いに会釈してロヴィスの部屋に入っていった男は数週間後自殺して新聞紙面を騒がせた数学者カジヤマ・マスマティカだと後に知ることになります。
- キムラ:メタな説明ですね(笑)。
- GM:いや、思わぬ方向性へ行ってしまったので。
- ティガ:早速か(笑)。
- GM:いい意味で、ですけどね(笑)。
- キムラ:確かにいいシーンでした。
- ソルティ:えへへー。
- エミリオ:契約のシーンやりたかったので。
- GM:なるほど。そんなわけでこのシーンは終了です。
■Opening Phase02 荒らされた研究室
数学者キムラ・オールズはいつものように自宅で朝のオレンジペコー・ティーを楽しんでいた。
- GM:では次のシーンはキムラ教授のシーン。突然自宅の電話が鳴ります。
- キムラ:紳士・キムラです。
あまりの電話対応に一同爆笑。
- エミリオ:紳士@@
- キムラ:すいません!(巻き戻して)オレンジペコー・ティーを置いて、出ます。もしもし、キムラですが。
- GM/ミノティアス:どうも、ノザムカスル大学警備課のミノティアスです。すぐに研究室の方へお越し願えますか?
- キムラ:ああミノティアスさん、どうも。どうかされましたか?
- GM/ミノティアス:実はキムラ教授の研究室に賊が入った模様でして。
- キムラ:なんと! こんな日陰の老いぼれの研究室に……。判りました向かいます。
大学に着くと警備員の牛頭の精霊が大きな体を申し訳なさそうに縮こめていた。
- GM:そうすると研究室内がごちゃごちゃに荒らされていますね
- キムラ:これはひどい。金目のものなどないと一目で判るはずですがなぁ。
- GM/ミノティアス:何が盗られているか判りますか?
- キムラ:調べてみます。何か気づいたことはありませんか?
- GM:特に盗まれたものはなさそうです。ただ何かを探した様子はありますね。
- キムラ:いや、荒らされてはいますが、なくなったものはどうやらないよう……。ふむ、これは何かを探していたようですな。
- GM/ミノティアス:何も盗られてないというのは不幸中の幸いというか……。しかし賊は何が目的だったのですかね?
- キムラ:そうですな。私の研究に特に隠すようなことは……、と言ってカジヤマの顔が一瞬フラッシュバック。
- GM/ミノティアス:何か思い当たる節でも?
- キムラ:まさか……。カジヤマの遺稿やメモなどを自分が保管しているのを思い出し、それを探してみます。
- GM:そうすると、カジヤマの遺稿などは念入りに調べた様子がありますね。
- キムラ:それをじっと見入ります。(プレイヤーに戻って)ミノティアスにそれは何かと尋ねさせて(笑)。
- GM:判った(笑)。「……それは?」
- キムラ:これは古い友人の遺稿であり……、神曲の謎を解き明かすものです。私はそう信じています。そう言って、眩しげに朝日を見ながら。しかしこの遺稿はいまだに私には解読できていませんでした。どうやら犯人の目的はこれのようです。
「なあカジヤマ、あんたは神曲に何を見ていたんだい?」
誰ともなくつぶやくと、遠くからルシャゼリウス市警の到着を示すサイレンの音が聞こえてきた──。
■Opening Phase03 ケーキと試験勉強
「あーあ」。ユギリ・ペルセルテは机にひじをつき、大きなため息をついた。
- GM:次のシーンに行きましょう。シーンPCはソルティアーネで、舞台はトルバス神曲学院、ユギリ・ペルセルテと話しているシーンです。
- ソルティ:わたしね。
- GM/ペルセルテ:あーあ、もうすぐ試験かあ。試験期間中はフォロン先輩に会えないからなあ。
- ソルティ:ペルセはいいなぁ。わたしにもいい出会いないかな……。
- GM:試験期間中は勉強しろという名目でツゲ事務所のアルバイトもお休みになっているということで。
- エミリオ:エミリオがいる限りいい出会いはなさそう。
- GM:え、悪い虫は近づけさせない?(笑)
- ソルティ:ひどい!
- キムラ:過保護フラグ。
- エミリオ:そういうのは一人前になってからです。
なるほど(笑)。
- GM/ペルセルテ:そうだ、一緒に試験勉強しない?
- ソルティ:ん? 何か魂胆がありそうね、と意地悪い笑みを浮かべる。うちに来てもフォロン先輩はいないわよ?
- GM/ペルセルテ:エヘヘ……、ソルティ頭いいから、教えてもらおうかなーって。
- エミリオ:仲良しさんですね。
- ソルティ:ふふっ、それが目的ね。お土産は翠屋のケーキでいいわよ。
- ティガ:『とらハ』ネタかい(笑)。
- GM:そうすると、ペルセルテの双子の妹プリネシカがやって来てですね。
- ソルティ:(キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!)
- GM/プリネシカ:もうペルセ、勉強は自分でやらなきゃダメだよ?
- ソルティ:それじゃ、プリネも一緒に勉強しない? みんなでやった方が楽しいし、ペルセが美味しいケーキ買ってきてくれるって言ってるしね♪
- GM/ペルセルテ:ほら、他の事務所も見学してみたいじゃない? これも勉強だよ。
- ソルティ:うちなら広いし、大歓迎だよ♪
- GM:初めは「迷惑では」と言っていたプリネシカも2人に押し切られて一緒に勉強することに同意します。
- ソルティ:それじゃ、美味しいコーヒーを用意しておくね♪ ケーキ忘れずにね♪ 待ってるわよ♪
- GM/ペルセルテ:うん!
- ソルティ:ここで質問だけど、ソルティの自宅=事務所なのかな?
- GM:ああ、そう考えてたけど違う方がいいですか?
- ソルティ:じゃ、それでー。自宅兼事務所って感じ。
- キムラ:それだと登場しやすそうです。
■Opening Phase04 過去の亡霊
ベースギターを主制御楽器に持つ単身楽団を操りながら神曲楽士のテロリストがにやりと笑う。その周囲には精霊と人間を融合させた忌まわしき技術の結晶、精霊奇兵が不気味にたたずんでいた。
- GM:では最後のオープニング、ティガーボルトのシーンです。
- ティガ:承知。午後の平和なシーンがいきなり殺伐としそうな予感。
- GM:ところで殺された契約楽士に何か設定とか希望とかありますか?
- ティガ:特に考えてなかったり。
- GM:では、まあ適当に演出します(笑)。10数年前の〈嘆きの異邦人〉との戦いの回想シーンです。その中のヒラガ・アーゲンティアとの戦いですね。
- キムラ:これは巨大なテロ・クーデターみたいな事件でしたっけ。ここではコーティカルテはテロ側だったんでしたよね?
- ティガ:うむ、コーティカルテはテロの頭の契約精霊だった(←コーティカルテとは敵として戦場で出会っている)。
- キムラ:了解です。
- GM/ヒラガ:ふん、さすがは上級精霊といったところか。だがこれだけの精霊奇兵を相手にいつまで持つかな?
- ティガ:ぬぅっ……!!
- キムラ:(精霊奇兵のエネミーデータを見て)レベル7、勝てんぞ……。
- GM:演出だからいいんですよ(苦笑)。では、ティガーボルトの契約楽士が神曲を奏でて劣勢を挽回します。
- ティガ:よし! はあああっ! 爆発音とともに、数体の精霊奇兵が吹き飛ぶ。
- GM/ヒラガ:ぬうっ! ヤツの契約楽士を狙え!!
- ティガ:そういはいかん! その行動を読んでいた俺は、すり抜けようとする精霊奇兵を一刀両断する。
- GM:しかし、数で勝る相手側に徐々に動きをけん制され、その隙に1体が楽士の方へ向かっていく。
- ティガ:いかん……間に合えっ! 力ずくで群がる敵をはね退けて、契約楽士に走るぞ。
必死に走るティガーボルト。しかし、わずかに間に合わず、ティガの刀が精霊奇兵を両断するのと、精霊奇兵が楽士を貫くのとは、同時であった。
- GM/契約楽士:ぐはあっ!
- ティガ:し、しまった!
- GM/契約楽士:ティガーボルト、お前は生きるのだ……。
- ティガ:くっ……うおおおおっ! 叫びながら、残っていた精霊奇兵を殲滅する(笑)。
- GM/ヒラガ:くっ、バカな!? ……退けーっ!
- キムラ:契約楽士、どうやら名前もつけられないまま退場の予感……(泣)。
- ソルティ:ひどい扱い(笑)。
- ティガ:そこはそんなに重要でもないということで(笑)。
- GM:そうしてヒラガ・アーゲンティアは精霊奇兵を捨て駒にして逃げていきます。
- ティガ:待て、邪魔をするなっ! 追いかけるが、捨て駒に邪魔をされて逃げられる。
- GM:そんな感じですね。そんなことがあったのが10数年前。そして時は変わって現代、サイクリングから事務所に帰ってきたティガーボルトは忘れようにも忘れられない後姿を見かけます。
- ティガ:あれは……!?
- ソルティ:こんにちはー。
- キムラ:いやいや(笑)。
- GM:その人物はすぐに人ごみに紛れて見えなくなってしまいますが、パティータ事務所を伺っていた様子。
- ティガ:……間違いない。あの後ろ姿は……。ソルティ所長の挨拶も聞こえず、人ごみに消えた後姿を見ていた。
- GM:じゃあそこにソルティアーネが学校から帰ってきたということにしましょう。
- ソルティ:あれ? ティガさん? ティガさんってば!
- ティガ:む? 所長。これはすまなかった。
- ソルティ:ぼーっとしてたようだけど、何か珍しいものでも見たの? つちのこ? ビッグフット?
- ティガ:いや、亡霊……だ。俺にしか見えない、な。
- ソルティ:なんかよくわかんなーい。ま、いいや。お茶にしましょ。
- エミリオ:おかえりなさいませ、お嬢様、ティガ殿。
- ティガ:ああ、今戻った。
- ソルティ:エミリオ、ただいまー。(ティガーボルトに向かって)美味しいものでも食べたら、元気でるよー♪
- GM:ではエミリオが出迎えたところでシーン終了です。
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